落語台本の着眼点

『上方落語落語台本大賞』は今回7回目。
157作品が寄せられて今宵その入選作の発表会でした。
かつて予選審査をしていた時は、それぞれの作品にほぼ目を通して苦痛の日々でしたが、多くのアイデアにも出会えて楽しかったものです。
何を着眼点にするかで選び方も変わります。
今回私がさせていただいたのは「新幽社員研修」(作:今井洋之)でした。
亡くなったら幽霊になる、そのための新しい幽霊の研修の話。
私は、この作品の幽霊の為の研修というより、亡くなってからも亡くなったおばちゃんを想う孫の気持ちにおばあちゃんが喜ぶところを肝にしたいと思いました。
ところが、原作におばあちゃんと孫との関わりがあまりなく、コレを入れようかどうか迷いました。
ただ、あの世での研修風景もかなり変えてしまったし、孫との関わりも付け足してしまったら、原作とかなりかけ離れたものになるのでやめました。
超満員のいいお客様。
どの作品もよくウケていた今回の受賞作の中では、ちょっと笑いが取りづらいところはありましたが、テーマとしてはいい作品なのでもう少し練り込めばハートウォーミングないい噺になると感じました。