芸人根性

林家小染兄さんが61歳という若さで急逝されました。
息子で弟子の染八も知らなかった末期の大腸ガンだったそうです。
最近は極端な痩せ方だったので心配してたけどそこまで患ってらっしゃったとは…

兄さんは、亡くなる2日前まで繁昌亭のゴールデンウィークの番組編成に携わってらっしゃったそうです。
とにかく責任感の強い方で、目の前の仕事は真剣にこなすタイプでした。

何度か二人会もさせていただきました。
落語に対する熱意、集客に対する貪欲さ。
学ぶ事が多かったです。
結局、兄さんのパワーについて行けなくていつしか二人会もやめてしまいました。

兄さんの責任感の強さを一番感じたのは『彦八まつり』の実行委員長をされた時でした。
売れっ子の実行委員長は、大手のスポンサーをとってきてましたが、兄さんは「オレは、大手のスポンサーはいてへんけど、細かくぎょうさんスポンサーをかき集めたんねん」と言って立派に資金調達されました。
兄さんの実行委員長時の功績は上方落語協会の歌「エブリデイ上方落語」作詞:桂三枝、作曲:キダタローを発表した事でしょう。
協会の歌を作るなんて誰も考えもしなかった事でした。
何日も実行委員や有志が集まってコーラスの練習をしたのを思い出します。

弟子の染八くんには「1分に1発は笑わせろ!」と言ってはったようです。
笑いに対して厳しく、忙しそうにしている芸人には「ええな、忙しいんやろ?」なんて、いつも嫉妬してはりました。
裏返しで考えれば「負けてたまるか!」といった芸人根性だったと思います。
病気を誰にも明かしてなかったのも病を言い訳にしたくない兄さんの芸人根性だったのでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。
合掌

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  • #1

    七福座での熱演を思う (火曜日, 19 3月 2024 17:11)

    いつだったか「七福寄席」で『住吉かご』を演じられ、熱演に引き込まれてしまい、どっと笑いが起こっていました。また、喜楽館で開館を待っていた折、おばちゃんが『今日、小染さん出るんできたんやわ。あの人じょうずやで』と話していました。あまりにも若くの方もおられるが、円熟の芸に達した方を失うこと、残念です。